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【心理学】同じ推論問題が、正解率4%から75%に上がる仕組みについて心理学的に説明します

放送大学で心理学を学んでいます。

「心理学」ってとっても幅広い分野で、どれから学んでいいかわからない人も多いと思います。

だって、心理学の成り立ちや体系だった学び、人の認識や思考の仕方、認知行動療法社会心理学とかまで、全部心理学に分類されるのです。幅広すぎ!

そんな中で、日常生活で実用性が高そうなもの、面白かった授業をご紹介します。

認知心理学第8回 思考1:演繹的推論 

高野 陽太郎(東京大学名誉教授)の授業。

演算的推論。

ものを推論するときの仕組みについて。例えば、

①カラスは全部黒い、だから目の前にいるカラスAは黒い。

②カラスABC全部黒いから、カラスPも黒いだろう。

推論する方法は、いくつかあるけど、では実際に人がどのように推論するかを選択しているのか?
心理学の視点から考える。

正解率が4%の推論問題。

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正解率四%の問題だそうです。

片面にアルファベット、もう片面に数字、の裏表が印刷されたカードがあります。

質問:「文字が母音なら、その裏の数字は偶数」という規則が、
「E」「K」「4」「7」枚のカードに当てはまっているかどうかを確かめるために、どうしてもめくらなければならないカードは?

推論で答えが出せるそうなのですが、どのカードをめくればいいと思いますか?
「全部めくる」というのは不可で、規則を確かめるための最小枚数でカードを選んでください。

(私は間違えました)

 

30秒ほど考えていただいて、答えをご紹介する前に二つ目の質問。

以下の質問の場合、確認しなければいけないカードはどのカードでしょうか?

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片面に飲み物、もう片面に年齢、の裏表が印刷されたカードがあります。

質問:「飲んでいる飲み物がビールなら、その裏は20歳以上でなければならない」という規則が、
「ビール」「コーラ」「22歳」「16歳」枚のカードに当てはまっているかどうかを確かめるために、どうしてもめくらなければならないカードは?

こちらも30秒ほど考えていただいた後、
問題①の答えを発表します。

 

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正解は「Eと7」。

考え方としてはこんな感じ。
「母音なら偶数」を考えるときに、
①「E」母音の裏が偶数である事
②「7」奇数の裏が母音でない事 を調べなければならない。
・「K」の裏は奇数でも偶数でも構わない
・「4」の裏は母音でも子音でも構わない

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正解率はたったの4%のこの問題。

(私は答えを聞いても正直こんがらがります)

仕組みは全く同じ問題なのに、違う出題方法になった瞬間、正解率が75%に急増します。

同じ問題でも、正解率が4%→75%に急増する

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正解は、「ビール」と「16歳」

推論としては全く違いのない問題なのに、急に正解率が急増する、これはどういう仕組みなのでしょうか?

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人間の思考プロセスはどのようになっているのでしょうか。

ビール問題だけ正答率が急増する理由について、
遺伝的なもの?としては、人間はこんなに早く進化できない。
アメリカの心理学者、レダ・コスミデスは、特定の適応問題に対応している「裏切り者発見モジュール」なのでは?という説を提唱しました。

(特定の適応問題に対応する例としては、例えば、人間の免疫システムがある。すべてのウイルスに対抗するわけじゃない、けれど抗体の付いたウイルスには対応する)

狩猟採集をしていた時代は、集団で協力する必要があった。協力しない裏切り者検知するアルゴリズムが進化した。

その結果、利益を得るものは対価を支払っているか。を発見する能力が備わった。

ビール問題は、「許可」が関わる(許可スキーマ)ので、人間にはとても分かりやすい思考。論理学的な思考で説いているわけではないのです。

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ストーリー付きの類題にすると、他の問題も正解率が75%に上がる。

ストーリー:ある部族では、栄養が豊富で媚薬効果もあるキャッサバを食べられるのは既婚男性のみ。既婚男性は必ず顔に刺青をする習わしになっている。
モロナッツは栄養も少なくまずい食べ物である。
以下の、食べているものと刺青がある無しが裏表になっているカードのうち、どのカードをめくればそのルールが守られていることを確認できるか?

 

 類題でも、正答率が上がりました。

社会契約理論(スキーマ理論、裏切り者検知アルゴリズム 利益対価関係、危機管理アルゴリズム、許可)があるものだと、人間の判断能力が上がると言われています。

 

思考能力について、一時期、遺伝や民族で決まる!という意見が主流だった時期がある。

しかしIQテストの内容は、後天的に学べるものなので、思考能力が遺伝かについてはまだ定かじゃないとされている。

民族的な差別につながる大きなテーマなので慎重に取り扱いたい。とのことでした。

計算式だけでなく、人間がどのように思考しているのか、理解しやすいものと理解しにくいものがある理由とはなど、心理学の研究の歴史は面白いことをたくさんしているようです。

とても素敵な授業だった!!!

 

以上、放送大学認知心理学第8回 思考1:演繹的推論」のよりお届けしました。